IT人材は、慢性的な不足に陥っています。御社も不足を感じているのではないでしょうか?コンサルタントやSES、派遣などの“外部の力”は力強い味方ですが、トラブルなく業務に活かすためにはコツがあります。
この記事では、“外部の力”をうまく活用して業務改善や改革を進めるポイントを解説します。記事をお読みになり、より良い業務の遂行にお役立てください。
1. IT人材やDX人材の不足は、中小企業の深刻なリスク
ITは多種多様な業界で活用される一方、IT人材の不足は続いています。なかでも事業改革に関わる「DX」を推進する人材(DX人材)の不足は深刻です。情報処理推進機構は「DX動向2024」において、DX人材が質・量ともに不足していること、全体の6割~7割の企業が不足を実感していることを公表しました。
「大幅に不足」と回答した企業の割合は、急速に増加しています。なかでも情報通信業以外の業種で、DX人材の大幅な不足を実感する企業が多くなっています。
IT人材やDX人材の不足は、中小企業や非IT企業にとっても対岸の火事ではありません。「どこから業務効率化すればよいかわからない」「デジタル化して競争力を増す業務を選定できない」「ベンダーの提案が適切か判断できない」など、事業に深刻な悪影響をもたらします。競合他社に勝ち抜くチャンスを逃すかもしれません。
一方でIT人材やDX人材の雇用にこだわることも、おすすめできません。採用コストの増大や業務の属人化といったリスクがあります。短期間で離職されるリスクも見逃せません。企業には“外部の力”を活用して、業務改善や改革を進めることが求められています。
2.業務改善や改革に外部リソースを用いるメリット
業務改善や改革に“外部の力”、すなわち「外部リソース」を用いることで、企業は5つのメリットを得られます。
- 企業が必要とするタイミングで、専門性が高く業務にフィットするアドバイスを得られる
- 競合他社の動向やトレンド、最新情報に基づくアドバイスを得やすい
- 必要なときに必要な分だけ利用できる。短時間・短期間の利用にとどめれば、雇用よりもコストが低い
- 労務管理上も常勤雇用より柔軟に対応できる。業務の繁閑への対応もしやすい
- 人的リソースをコア業務に集約でき、限られた人材を有効活用できる
特に中小企業は従業員数が少ない場合も多いため、人事、経理、情報システム、法務・・・など、本業以外の業務に秀でた人材を確保しにくいかもしれません。外部リソースの活用は、事業運営の後押しにつながります。
3.外部リソースの種類と特徴
企業は、さまざまな外部リソースを活用できます。代表的な項目を、以下の表でご確認ください。
外部リソース |
特徴 |
コンサルティング契約 |
ITコーディネータやITコンサルタント、外部のなど。経営方針や事業運営に関するアドバイスを受けられる |
専門家の活用 |
専門家によるアドバイスを受けられる、高いスキルに基づく優れた納品物を得る方法としても用いられる。プロジェクト単位で契約する場合もある |
外注の活用 |
業務の一部を切り出し、外部の組織や人に委託する。コスト削減が目的。クラウドサービスも活用できる |
アウトソーシング |
|
派遣・SES |
期間を決め、フルタイムで業務の支援を依頼する。不足する要員を確保する代表的な手段 |
上記の特徴を踏まえて、御社にマッチする方法を選んでください。
4.労務管理やセキュリティにおける注意点
外部リソースを活用する場合は、労務管理やセキュリティについても注意が必要です。それぞれについて、注意すべきポイントを解説します。
依頼内容に応じた契約を締結し、従業員との役割分担を行う
業務の遂行に活かせる契約は、複数あります。以下の特徴を踏まえて、使い分けることが重要です。
契約 |
依頼した企業による指揮命令権 |
仕事の完成 |
主な対象 |
請負契約 |
権限無し |
義務がある |
製品の製造、システム開発の案件受注 |
準委任契約 |
権限無し |
義務は無い |
コンサルティング、SES企業の従業員によるプロジェクトへの参画 |
派遣契約 |
権限あり |
義務は無い |
派遣社員 |
契約は業務の実態に合わせて締結する必要があります。特に残業代や社会保険料などの負担を逃れる目的で、業務の実態が雇用契約や派遣契約であるにも関わらず、請負契約や準委任契約を締結してはいけません。このような行為は法令違反であり、発覚するとさかのぼって多額の残業代や保険料の支払いを求められるおそれがあります。
また同じ業務を複数の人、特に従業員と外部リソースで重複して行うと、責任の所在があいまいになりかねません。従業員との役割分担を行い、責任の所在を明確化する取り組みが求められます。
情報セキュリティや機密保持の徹底を図る
御社で定める情報セキュリティルールや、機密保持の徹底も重要です。従業員や派遣社員に対して、説明会を開催する方法は一例です。
自社と離れた場所で仕事をする方には、情報セキュリティルールを説明し理解してもらう取り組みが求められます。契約書にセキュリティや機密保持の遵守といった項目を含めることもおすすめです。再委託や国外の事業者への委託を認めるかという点も、検討しておきましょう。
5.外部リソースを上手に活用する5つのステップ
外部リソースを御社の事業運営に活かすためには、5つのステップを踏んで適切に準備を進めることが重要です。各ステップを確認のうえ、業務改善・改革を進めましょう。
ステップ1:課題の整理
まず、事業運営における課題を整理します。そのうえで自社の従業員による対応がふさわしい業務と、外部リソースを活用できる業務に分けてください。実際に外部リソースを用いる業務は、このなかから選びます。
ステップ2:外部リソースやパートナーの選定
業務ごとに、依頼先の外部リソースやパートナーを選びます。「3. 外部リソースの種類と特徴」を参考に、適切な依頼先を決めましょう。実績や信頼性、契約条件のチェックも、選定の重要な項目です。
ステップ3:小さく始める
改善や改革は、小さく始めることがおすすめです。業務や部門を限定して外部リソースの活用を始め、自社との相性を見極めましょう。結果を踏まえて、全社への展開につなげることがおすすめです。
ステップ4:社内体制の整備
外部リソースを上手に活かすためには、明確な指示体系と信頼関係の構築が重要です。派遣やSESなどオフィスに常駐してもらう場合は役割分担を決めたうえで、「誰の指示で動くか」を明確にしてください。コンサルタントなどオフィスに常駐しない方に協力を依頼する場合は、自社の窓口を決め、窓口を通して連絡を取るとよいでしょう。
ステップ5:継続的に実行しPDCAを回す
業務改善や改革は、1回の取り組みで完結しないケースが多いです。PDCAを回し、継続して取り組むことで、より良い業務を遂行できます。業績アップや顧客満足度の向上、より良い評判の獲得などは一例です。コスト削減や業務品質、業務改善や業績への効果をチェックすることも重要です。
6. 従業員が足りない企業でも、外部の力で理想の事業運営を実現できる
外部リソースを上手に活用することで、より良い事業運営を後押しします。この点で外部リソースは脅威ではなく、共創のチャンスです。「人がいないからできない」と諦めることは早計です。外部リソースを活用して、理想の事業運営を実現しましょう。
最初の一歩は、コンサルタントなど専門家への相談から始めるとよいでしょう。また業務を1つ選び、アウトソーシングすることも一つの方法です。
弊社では、外部リソースの活用に悩む経営者様の相談を受け付けています。情報システムアウトソーシングサービス「ITひつじ」のお声がけも増えています。無料での相談も可能ですので、興味をお持ちの際はお気軽に問い合わせフォームからお知らせください。