生成AIが急速に広がり、
「Copilotをもっと使いこなしたい」
「社内の情報をAIに活かしていきたい」
という声が中小企業でも増えてきました。
しかし、実際に企業を支援していると
AIの前に、もっと根本的な課題がある
と強く感じています。
それが、データの整理と“置き場所”問題です。
OneDriveやファイルサーバ、NASにどんどん置いていく方式の限界
これまで中小企業では、OneDriveを中心にファイルを保存していく運用が一般的でした。
- 自分の作業中のファイル
- お客様ごとのドキュメント
- 社内で共有したいWord/Excel
- とりあえずのメモ
こうしたものを、各自のパソコンのデスクトップやOneDriveに置き、必要に応じて共有する——という運用です。
これは「とりあえず業務を回す」うえでは問題ありません。
しかし、AIに会社の“知識”を学習させたいとなると、一気に壁が出ます。
理由はシンプルで、
デスクトップやOneDriveは「個人の作業場所」であり、
SharePointのような「全社の知識基盤」ではないから
AIに期待されるような回答(契約書の傾向、提案書の構造、社内ルールなど)は、“全社で構造化して蓄積されたデータ” に依存します。
ここが整っていないと、AIは本来の性能を発揮できません。
SharePointがAI時代に強い理由
SharePointは、ただのファイル置き場ではなく、
- サイト構造
- メタデータ(顧客名、種類、年度などの追加情報)
- 一貫した権限設計
- バージョン管理
- 一元管理
といった仕組みを最初から持っています。
AIは「整ったデータ」が大好物です。だからこそ、AI活用を本気で考える企業ほどSharePointを土台に据える流れが強まっています。
とはいえ、SharePoint導入は“型づくり”が難しい
ただ、SharePointには大きな壁があります。
それは、最初の設計(型づくり)が難しいという点です。
- どんなサイトを作るべきか
- メタデータは何を付けるべきか
- OneDrive とどう使い分けるのか
- 権限をどうするか
- 運用ルールはどう決めるか
このあたりが曖昧なまま始めてしまうと、
「あれ?結局どこに保存するのが正しいの?」
「誰が編集できるんだっけ?」
という混乱につながります。
実際、当社でもOneDrive中心の運用からスタートし、AI活用を前提にデータ基盤を全面的に見直しました。
中小企業向け:データ整備からAI活用までの4段階ロードマップ
そこで当社では、実際の企業支援で蓄積した知見をもとに、中小企業が取り組みやすいロードマップ を整理しました。

フェーズ1:準備と基盤整備(1〜3ヶ月)
- 目的の明確化
- 現状のファイル整理
- Microsoft 365 の初期設定
社内に“共通ルール”をつくる準備段階です。
フェーズ2:パイロット移行と設計(4〜6ヶ月)
- OneDrive / SharePoint / Teams の使い分けルール設定
- シンプルなSharePointサイト設計
- 一部チームでの試験運用
“小さく始めて検証する”プロセスです。
フェーズ3:全社展開と構造化(7〜12ヶ月)
- 全社への移行
- メタデータの設定
- 権限管理の強化
ここで初めて、AIが必要とする“構造化データ”が揃ってきます。
フェーズ4:生成AI導入と定着(13ヶ月〜)
- Copilot の試験導入(RAG的活用含む)
- ユースケースの開発
- 社内トレーニング
この段階まで進むと、AIが業務の一部として自然に使えるようになります。
AI活用の第一歩は、「どこにデータを置くか」を決めること
AI活用というと、「まずはAIツールを契約しましょう」となりがちですが、本質はそこではありません。
データの置き場所を整備すること。
そして、社員全員が迷わず運用できる型をつくること。
ここを整えれば、AIは自然と成果を出してくれます。
もしご興味があれば
株式会社テクノスイッチでは、
- SharePointの初期設計
- データ管理ルール策定
- OneDriveとの使い分け支援
- AI活用フェーズまでの伴走
- 社員向けトレーニング
- 導入後の運用サポート
など、一連のプロセスを包括的にサポートしています。
生成AIを“使える状態”にするための基盤づくりから伴走しますので、気軽にご相談ください。

中小企業のIT導入・活用支援を中心に、クラウド、セキュリティ、AI、電子帳票、建設業向けシステムまで幅広く対応。ITコーディネータとして業務とITの橋渡しを行いながら、実効性ある運用体制づくりを支援します。 Microsoft 365 を中心とした導入実績に加え、G検定、AI・IoTマスターコンサルタントなどを取得。電気工事士資格も保有しており、ネットワークやハードウェアにも対応可能です。


